大きな上場企業は、有価証券報告書にSSBJ基準(日本のサステナビリティ開示の基準)で書くことになります。有価証券報告書は、上場企業が毎年、国に出す報告書です。開示は、会社が自分の情報を投資家などに公表することです。経理部とサステナ部が初めての1年で何を集め、誰の確認を通すのかをたどります。
対象は、東京証券取引所のプライム市場に上場する会社です。時価総額は、過去5年度の期末の平均で測ります。基準の額に達した次の年度から、適用が始まります。
| 時価総額 | SSBJ基準で書く | 第三者保証を受ける |
|---|---|---|
| 3兆円以上 | 2027年3月期から | 2028年3月期から |
| 1兆円以上 | 2028年3月期から | 2029年3月期から |
| 5,000億円以上 | 2029年3月期から | 2030年3月期から |
第三者保証は、会社が出した数字を外の専門家が確かめる仕組みです。義務になる前に書いた会社もあります。キリンホールディングスは、2025年12月期の報告書で基準に準拠しました。みずほフィナンシャルグループは、2026年3月期で準拠しました。
SSBJ基準は、財務諸表と同時に、同じ期間について報告するよう定めています。有価証券報告書の期限は、事業年度の終わりから3か月以内です。金融審議会(金融庁の有識者会議)の報告は、この期限を延ばさないとしました。
そのため、決算の数字と同じ時期に、排出量などの数字も固める必要があります。キリンは3月27日に報告書を出しました。みずほは、6月17日に社内の委員会で記載を承認しています。
最初の2年度は、「二段階開示」も選べます。サステナビリティの部分だけを、後から訂正報告書で出す方法です。期限は、次の年度の半期報告書を出す日までです。同じ報告は、欧州の会社の工夫も紹介しています。一部の期間や拠点に見積りを使う例です。
書く範囲は、財務諸表と同じ「報告企業」です。連結決算をする会社なら、子会社を含むグループ全体になります。経理部が連結決算で使う会社の一覧が、そのまま集める先になります。
最初の年度には、負担を軽くする経過措置があります。前年度と比べる数字は出さなくてかまいません。取引先など自社の外で出る排出(Scope3)も、出さなくてかまいません。キリンはScope3を最初の年度に出さず、実績が固まり次第出すとしています。みずほは、前年度と比べる数字を出していません。
キリンは、開示までの手順を社内のルールにしました。この手順は、社内の内部監査の対象です。中身は、情報開示委員会の委員長であるCFOが承認しました。
保証が義務になると、最初の2年は範囲が絞られます。対象は、自社の排出(Scope1・2)と、ガバナンス(経営を監督する仕組み)、リスク管理です。水準は、限定的保証(大きな誤りがないかの確認)です。キリンは義務の前から、この範囲などで限定的保証を受けました。
保証をする会社は、国の登録制になります。監査法人(決算書を監査する公認会計士の法人)でなくても、要件を満たせば登録できます。金融審議会の報告は、作成を手伝った会社に同時に保証もさせない方向を示しています。
キリンは3月27日に報告書を出し、みずほは6月17日に社内の委員会で記載を承認しました。排出量の数字も、決算と同じ日程で固めることになります。
この準備を外に頼むのは、経理部とサステナビリティの部署です。頼まれるのは、連結の子会社から数字を集める手順と、社内のルールや手順書づくりです。保証の前に、記録が残っているかを点検する支援も出てきます。
連結決算や内部統制(誤りや不正を防ぐ社内の仕組み)の評価を担ってきた経理の人は、この仕事の中心にすぐ立てます。作成を手伝った会社に同時に保証もさせない方向なので、作る側と確かめる側の両方で人が求められます。監査法人で監査をしてきた人は、保証を受ける前の準備を手伝えます。
面接では、二段階開示がなぜ用意されたのかを、3か月の期限と結びつけて話せると強みになります。