建物の省エネは、これまで使う段階の電気やガスが中心でした。2026年7月の法改正で、資材づくりから解体までのCO2も数える仕組みができます。建設会社と資材メーカーに何が求められるかは、国土交通省の検討会の資料に書かれています。
国内のCO2排出量のうち、建物を使う段階の分は約3割です。資材の製造、施工、解体の分も約1割あります。
国は2025年4月、新築の建物に省エネ基準への適合を全面的に義務づけましたが、これは使う段階の対策です。資材づくりから解体までを含む建物の一生のCO2を、ライフサイクルカーボンと呼びます。
| 改正法で決まったこと | 対象 |
|---|---|
| 国が、統一の算定ルール(指針)をつくる | 国交省など4つの省が定める |
| 設計を頼まれた建築士が、評価に必要なことを建築主に説明する | 環境への負荷が少ない建物を除く新築など |
| 着工の14日前までに、評価の結果を国に届け出る | 延べ面積5,000㎡以上の事務所の新築・増改築(政令で定める) |
改正法は2026年7月31日に公布されました。届出の制度は、公布から2年以内に始まります。国は2028年度の開始を目指しています。
資材づくりの分は、かけ算の合計で求めます。資材ごとの数量に、単位量あたりのCO2の量をかけて足します。この単位量あたりの値を「原単位」と呼びます。
数量は、設計者の図面か、施工者の見積内訳書から拾います。見積内訳書は、工事の費用を項目ごとに分けた書類です。検討中の案では、杭や基礎、コンクリート、鉄骨などの数量が必須です。拾いにくい細かな工事は、比率を使った推定でも構いません。
案では、評価の期間を60年でそろえます。建物の一生のCO2を計算するツール「J-CAT」は、住宅・建築SDGs推進センターが公開しています。
原単位は3種類から選びます。メーカー1社の製品の値、業界団体の代表の値、国のデフォルト値(標準の値)です。
国は、メーカーが自社の製造から積み上げた値を使う方針です。EPD(環境製品宣言)やCFP(製品1つができるまでに出る温室効果ガスの量)が、その値にあたります。
メーカーの値がなければ、国のデフォルト値を使います。デフォルト値は、メーカーが自社の値を作りたくなるように決めます。平均や標準の値では、メーカーが減らした分が数字に出ません。
日本建設業連合会(日建連)は、2001年度から会員の工事現場のCO2を調べてきました。調べるのは、各現場で使う軽油、灯油、A重油、電力の量です。
7,668現場2024年度の調査に答えた現場の数。全会員の排出量は推計225.3万トン
日建連の目標は、施工の排出を2030年度に2013年度より40%減らすことです。建築の分野では、軽油に代わる燃料を22社(37%)が入れています。課題は、コストと供給の体制です。
届出の案でも、重機の電化や軽油に代わる燃料が、削減策の項目に並びます。
延べ面積5,000㎡以上の事務所を新築するなら、着工の14日前までに建物の一生のCO2を国に届け出ます。国は2028年度の開始を目指しています。
建設会社では、設計、積算、環境の部署が、物件ごとの試算の支援を外に頼みます。建材メーカーでは、品質保証や営業の部署がEPDやCFPの作成を頼む側に回ります。
見積内訳書から杭やコンクリートの数量を拾ってきた積算の経験は、計算の土台そのものです。日建連の調査に現場の燃料の量を出してきた施工管理の人も、施工の分を数える場面で加われます。建材の営業には、自社の値がないと国のデフォルト値で数えられることを設計者に伝える場面があります。
学生は、原単位とは何かを、身近な資材の例で説明できるようにしておくと面接で困りません。