サステナ系コンサルは、誰から何を頼まれる仕事か

国や会社から頼まれて、調べる・数える・書類にまとめる仕事です。お金を払うのは、国の機関と民間の会社です。

お金を払うのは、国と民間の会社

頼み手は大きく2つあります。1つは、省庁などの国の機関です。もう1つは、上場企業などの民間の会社です。

国の仕事は「委託」で頼まれます。委託とは、国が決めた調査や事務を、代金を払って外の会社に任せることです。

民間の会社からは、開示の準備や排出量の計算などを頼まれます。開示とは、会社が投資家などに情報を公表することです。(開示ってなに?)

1件の仕事は、5つの段階で進む

頼み手が国でも会社でも、仕事の進み方はおおむね同じです。下の図は、よくある流れを簡単にしたものです。

依頼何を知りたいか、何を作るかを決める
聞き取り担当の部署に、今のやり方と困りごとを聞く
データ集め社内の数字、取引先の回答、公開の資料を集める
分析排出量を計算する。基準と見比べて足りない点を探す
報告書結果と、次にやることをまとめて渡す

国の調査なら、最後に渡すのは報告書です。会社の開示の準備なら、数字を集める社内の手順づくりまで続くこともあります。

あずさ監査法人の採用ページには、開示の支援の業務が並んでいます。たとえば、開示に必要な情報を集めて管理する仕組みづくりの支援です。

仕事は、細かい作業の積み重ね

大きな仕事も、分けると次のような作業でできています。

  1. 調べる 国内外の制度や、ほかの会社の開示を読んで、要点を表にまとめます。
  2. 集める 社内の各部署や取引先に、数字と証拠の書類をお願いして集めます。
  3. 計算する 集めた数字を表計算ソフトに入れ、排出量などを計算します。
  4. 書く 会議の記録(議事録)、説明の資料、報告書を書きます。
  5. 管理する 予定と、残っている課題の一覧を管理します。

Booostの採用ページは、歓迎する経験に表計算ソフトでの分析と議事録の作成を挙げています。新卒が最初にどの作業を任されるかを書いた公式の採用ページは、見つかっていません。

頼まれる仕事の中身

  1. 有価証券報告書の開示の準備 SSBJ基準(日本のサステナビリティ開示の基準)に沿って、書く中身と数字の集め方を決めます。(SSBJ基準)
  2. Scope3の算定 仕入れ先や、売った製品から出るCO2を数えます。(Scope3、自動車部品の例)
  3. 取引先の調査 取引先に質問を送り、回答と証拠の書類を集めます。(EcoVadisの例、銀行の例)
  4. 省庁の調査の報告書づくり 国内外の制度や実態を調べて、結果をまとめて国に渡します。トーマツは令和6年度に、金融庁から「国内外におけるサステナビリティ投資の実態等に関する調査」を受けました。(受注データ)

会社の種類ごとに、よく受ける仕事がある

種類よく受ける仕事と例
大手会計系(Big4)監査法人(決算書を確かめる会社)とコンサル会社のグループです。開示の支援や国の調査を受けます。デロイト トーマツは、環境省の「脱炭素先行地域の選定及び効果検証等委託業務」(令和6年度)を受けました。EY新日本は2026年8月、国の排出量取引制度(GX-ETS)で、企業の排出量を確かめる仕事を始めました。
シンクタンク政策などを調べる研究所型の会社です。国の調査や検討を受けます。三菱総合研究所は、温暖化対策の法律の施行状況を調べる環境省の業務(令和6年度)を受けました。野村総合研究所は令和8年度、金融庁からEDINETの開発を受けました。EDINETは、有価証券報告書を出す国のシステムです。SSBJ基準の開示に合わせた開発です。
環境調査会社化学物質や公害の調査、廃棄物の処理の支援、海などの現地調査を受けます。いであは、海の環境を調べる方法を検討する環境省の業務(令和7年度)を受けました。エックス都市研究所は、環境省の「指定廃棄物等処理支援業務」を3年続けて受けています。
専業・ソフト会社排出量を集めて計算するシステムと、その使い方の支援を売ります。大林組は2026年4月にアスエネのシステムを入れ、国内のすべての建設現場のCO2を一か所で管理しています。Booostはアビームコンサルティングと、SGホールディングスのSSBJ基準への対応を支援しました。

国の委託は、約2年半で5,895件

このサイトの受注データは、国の機関が公表した契約の一覧を集めたものです。期間は令和6年度からです。令和8年度は、9月10日までの契約です。環境省の分は8月31日までです。公表の時期は機関ごとに違います。

環境省は、工事を除くすべての契約を数えています。NEDO(国の研究開発を進める法人)など5つの機関は、件名が脱炭素や開示などに当たる契約だけです。

合わせて5,895件で、契約金額は約4,312億円です。このうち5,301件が環境省の契約です。

会社の種類ごとの受注(令和6年度〜令和8年度9月10日、契約金額の合計)
会社の種類件数金額
環境調査会社(3社)331件142億円
シンクタンク(7社)320件199億円
建設コンサルタント(4社)155件54億円
大手会計系(Big4)143件83億円
戦略・総合コンサル(4社)52件54億円
ほかの会社・団体4,894件3,781億円

「ほかの会社・団体」が大きいのは、コンサル以外の相手がまとめて入っているためです。中身の多くは、工事に近い大型の契約と、大学・財団です。

いちばん大きいのは、福島の中間貯蔵施設などで廃棄物を処理する契約です。102件で約1,887億円あり、この行の金額の半分ほどです。

このうち約1,561億円は、共同企業体の契約です。共同企業体は、複数の会社が組んで1つの仕事を受ける形です。

大学は199件で約237億円、財団・社団は1,049件で約365億円です。大学には、NEDOの研究開発の委託が多く入っています。財団・社団には、環境省の調査や検討の業務が多く入っています。

この表は、国の委託だけを数えたものです。民間の会社からの仕事は入っていません。コンサルの仕事が少ないわけではありません。

建設コンサルタントは、道路や川などの計画や設計を請け負う会社です。契約のうち1,732件は「総合評価」で決まりました。総合評価は、価格と提案書の中身の両方で相手を選ぶ入札です。

どんな経験の人が向いているか

新卒 環境調査会社の受注は、化学物質や公害の調査がいちばん多いテーマです。化学、環境、生物を学んだことが使えます。開示や排出量の仕事では、会計や統計の基礎が役に立ちます。

経理・品証・購買 開示の数字は、決算と同じ締め切りで集めます。経理や内部統制(数字のまちがいを防ぐ社内の仕組み)の経験が使えます。開示した数字を外から確かめる保証の仕事には、品質保証の検査の考え方が近いです。Scope3や取引先の調査は、取引先を巻き込む仕事なので、購買の経験が生きます。

法人営業 ソフト会社の仕事は、会社にシステムを入れてもらうところから始まります。顧客の困りごとを聞き、導入まで付き添う経験が使えます。何百社もの取引先に回答をお願いする仕事でも、営業の経験が生きます。

下の表は、各社の採用ページで確かめた職種の例です。

出身の仕事ごとの職種の例(各社の採用ページ、2026年11月1日確認)
出身職種名会社の例入る前に知っておくこと
法人営業カスタマーサクセスアスエネ導入した会社が使い続けられるよう支える仕事です。法人の顧客と交渉した経験が条件で、営業の経験も当てはまります。製造業や建設業での営業経験を歓迎しています。
法人営業エンタープライズセールス(既存営業)ゼロボードすでに契約した大企業に、追加の提案をする営業です。法人営業の経験2年以上が条件です。
コンサル会社で大企業に提案Strategic Account ManagerBooost大企業の新しい顧客を開く営業です。コンサル会社での経験4年以上が条件です。法人営業だけの経験では届きません。
経理・財務・経営企画・IRサステナビリティコンサルタント(開示支援)あずさ監査法人経理や経営企画などの経験(おおむね3年以上)が条件の1つです。あわせて、コンサル会社などでの3年以上の経験も求めています。
工場の環境安全・品証サステナビリティ・保証業務従事者あずさ監査法人開示された環境の数字を確かめる仕事です。工場で環境のISO(国際規格)の仕組みを作り、運用した経験も条件に当てはまります。

ISOは、品質や環境の管理のやり方を定めた国際規格です。求人の中身は、時期によって変わります。応募の前に、各社の採用ページで最新の条件を確かめてください。

頼み手は、国と民間の会社です。調べる仕事、数える仕事、取引先から集める仕事で、生きる経験が違います。

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