自動車メーカーは、部品の仕入れ先にCO2の削減を求めています。部品ごとの排出量を数えて渡す仕組みも、整いつつあります。部品メーカーの担当者が集めるデータと、その渡し方をまとめました。
トヨタの目標は、車の一生で出る温室効果ガスを、2030年に2019年より30%減らすことです。車の一生とは、材料づくりから廃棄までです。2026年1月の「グリーン調達ガイドライン」で、仕入れ先にも削減を頼んでいます。
| トヨタが仕入れ先に頼むこと | 対象 |
|---|---|
| 納める材料・部品のLCAへの対応 | 直接取引する仕入れ先すべて |
| 工場全体の排出量の実績の確認 | 個別に連絡する仕入れ先 |
| 毎月初めに、前月の取り組みの状況を決まった様式で報告 | トヨタが物流を任せる会社 |
LCAは、製品の一生の環境への負荷を数える方法です。出すデータの中身は、トヨタの窓口が相談します。
数え方は、日本自動車工業会の「CFPガイドライン」(2024年版)にあります。CFPは、1つの製品ができるまでに出る温室効果ガスの量です。
基本は、自社で測った「一次データ」です。部品の材料の名前、個数、重さは、業界共通の材料データの登録システム「IMDS」から集めます。工場の分は、燃料の種類ごとの量と、資材と廃棄物の重さです。軽い部品や材料は、合計で全体の重さの1%までなら外せます。
値は、材料メーカーから部品メーカー、自動車メーカーへと積み上がります。
仕入れ先が答えられないときは、納め先が業界の平均などの「二次データ」で代わりに入れます。平均の値では、自社で減らした分が数字に出ません。工業会のガイドラインも、努力を表すには一次データが望ましいとしています。
納め先は、集めた値からCO2の多い部品を見つけます。そして、仕入れ先に削減を頼むか、ほかの部品を選びます。トヨタも、取り組みを確かめ、結果に応じて改善を頼むとしています。
EUへの輸出にも関わります。EUの電池規則は、2023年8月に効力を持ちました。この規則は、電気自動車の電池などに、2025年から段階的にCO2の申告と上限を求めます。
会社をまたいで値を渡す仕組みもあります。日本では、経済産業省が進める「ウラノス・エコシステム」です。自動車業界の国際的な団体「Catena-X(カテナエックス)」も、同じ役割の仕組みを持ちます。2025年3月には、2つの間で電池のCFPを受け渡す試験に成功しました。
電池のCO2の数え方を決めるEUの規則は、2026年7月更新の欧州委員会のページでも、案として載っています。
2026年10月世界の自動車メーカーと欧州の部品メーカーの団体が、乗用車と部品のLCAの指針の第1.0版を出した
図の流れを示した国のガイドラインは、2026年10月末でも最初の版(α版)で、今後詳しくしていく予定です。
部品メーカーの品質保証や環境の担当には、納め先の窓口から、どの部品のどのデータが要るかの相談が来ます。答えるには、IMDSの材料の登録と工場の燃料の量を、部品ごとに結びつけます。
外に頼まれるのは、部品ごとのCFPの算定と、一次データを毎回集められる仕組みづくりです。
工場で燃料や電気の記録をつけてきた生産管理の人は、どの設備の燃料をどの部品に配るかを決める場面で頼られます。IMDSの登録を担ってきた品質保証の人は、材料の重さをそろえる最初の段階から加われます。
就職活動では、一次データと平均の値の違いを、部品メーカーの努力が数字に出るかどうかで説明できると伝わりやすいです。