データセンターは、サーバーを動かし、冷やすために多くの電気を使います。国は省エネ法で、その効率の報告を求めています。クラウドの大手は、利用企業ごとの排出量も出しています。担当者が集める数字と、その出し先を整理します。
PUE(電力使用効率)は、データセンター全体の電気を、IT機器の電気で割った値です。IT機器とは、サーバーや通信の装置のことです。値が1.0に近いほど、冷房などに回る電気が少ないことを示します。
省エネ法(エネルギーの使い方の見直しを会社に求める法律)には、ベンチマーク制度があります。業種ごとに効率の指標と、目指す水準を決める仕組みです。
データセンター業は、2022年度に対象に加わりました。2023年度に出す定期報告から、PUEの報告が要ります。水準は、各業種で1〜2割の事業者だけが満たす高さに決めています。達成した事業者は、省エネ優良事業者として社名が公表されます。
1.4以下データセンター業の目指す水準。2030年度に、事業者平均のPUEをここまで下げるよう努める
参考に、Googleは2025年の自社の平均PUEを1.09としています。
資源エネルギー庁は2025年6月、追加の措置の案を示しました。
| 措置 | 案の中身 |
|---|---|
| 満たすべき基準 | 2029年度以降の新設は、稼働から2年たったらPUE1.3以下 |
| 新設の目標 | 2025年度以降の新設について、PUEの目標を出し、公表する |
| 事業者全体の目標 | 2030年度の事業者平均のPUEの目標を出す |
| 追加の定期報告 | データセンターごとに、使用量や効率を報告する |
| 一部の公表 | 効率などの情報を、データセンターごとに公表する |
省エネ法の施行規則(国が定める細かい決まり)は、2026年4月1日に改正されました。データセンターの事業者は、中長期計画書に書類を添えることになりました。添えるのは、目標と、データセンターごとの設備の運用や新設、更新の方針です。定期報告の期限は、毎年度の7月末日です。
案のうち、基準の数字などの最終の形は、このページでは確かめられませんでした。
クラウドを使う会社にとって、その電気の排出は自社の外で出る排出です。取引先など自社の外で出る排出を、Scope3と呼びます。
Google Cloudは、利用企業ごとの排出量を出しています。利用企業は、この数字を自社のScope3に入れられるとしています。電気の分は、月ごとにまとめます。
AWSは2026年3月31日、排出量を見る新しい画面を発表しました。利用に応じたScope1〜3を、地域とサービスごとに示します。2022年1月までさかのぼれます。CSV(表計算ソフトで開ける形式)と、システムでつなぐ口(API)でも取り出せます。
環境省の資料は、再エネ(再生可能エネルギー)の調達の方法を4つに分けています。敷地内の太陽光、敷地の外の発電所、再エネの電力メニュー、証書の購入です。
PPA(電力購入契約)は、発電事業者から再エネの電気を、前もって決めた価格と期間で買う契約です。期間は5〜20年ほどです。
| 形 | 届くもの |
|---|---|
| フィジカルPPA | 電気と環境価値がセットで届く |
| バーチャルPPA | 電気は届かず、環境価値の証書だけが移る |
新設の発電所などでは、非化石証書を直接買う形もとれます。非化石証書は、化石燃料を使わない電気の環境価値を、電気から切り離した証書です。
NTTデータは2024年3月、三鷹データセンターEASTでフィジカルPPAを結びました。3か所の新しい太陽光発電所から、年に440万kWhを受けます。施設で使う電気の約2割にあたり、契約は20年です。
こうした再エネの購入は、マーケット基準の排出量に表れます。マーケット基準とは、会社が買った電気の中身で数える方法です。
データセンターの事業者は、毎年度7月末までに定期報告を国に出します。2026年4月からは、データセンターごとの運用や新設の方針も計画書に添えます。
同じ電気の数字は、利用企業にも届きます。AWSやGoogle Cloudが、利用企業ごとの排出量を出しているからです。
頼まれる仕事は、計画書と報告の準備、利用企業ごとの割り振り方づくり、PPAの検討の3つです。頼む側は、設備の部門かサステナビリティの部署です。
建物の電気や空調を管理してきた人なら、PUEの分子と分母をどこで測るかが分かります。電力の小売で証書やPPAを扱ってきた人には、再エネの調達の相談が回ってきます。クラウドの課金の記録を扱ってきたエンジニアは、割り振りの仕組みを作る側に立てます。
PUEが1.4と1.09でどれだけ違うかを、学生のうちに自分で計算してみてください。面接では、その数字をそのまま話せます。