米国に服を輸入するとき、綿がどこで採れたかを書類で示すよう求められることがあります。示せないと、服は米国に入りません。担当者が集める書類と、出せないときの扱いを見ます。
米国では2022年6月21日から、UFLPA(ウイグル強制労働防止法)による取り締まりが始まりました。中国の新疆ウイグル自治区で一部でも作られた品は、強制労働で作られたとみなされます。米国政府が公表するリストに載った会社の品も同じです。
この扱いを覆すには、輸入する会社が、明白で説得力のある証拠を出します。審査するのは、米国の税関・国境警備局(CBP)です。取り締まりでは、綿とアパレルが重点の分野です。
日本政府のガイドラインも、米国の輸入差し止めにふれています。法律が直接かからない会社も、かかる会社からの要請で、取り組みを求められつつあるとしています。
CBPは2026年6月、輸入する会社向けの手引きを公開しました。綿の製品では、綿花を詰めた梱(ベール)の単位から完成品までを、書類でたどるよう求めています。
工程の流れ図と地域の地図を出し、工程とそれを裏づける書類に番号を振ります。直接取引していない上流の会社も、根拠の書類を添えて全部挙げます。
使うのは、注文書や請求書、船荷証券(船で運んだ荷物の証明)など、ふだんの取引の書類です。書類を出さない取引先がいれば、別の仕入れ先を考えるべきだと手引きは書いています。
ファーストリテイリングは2025年8月期、すべての縫製工場の働く環境を確かめました。ユニクロの綿の商品の主な紡績工場(綿から糸を作る工場)も対象です。外部の機関の、予告なしの監査も使います。2025年8月末時点で、ユニクロとジーユーの全商品の主な素材の取引の流れを、原料の原産国から縫製工場までつかんでいます。
CBPは疑いのある荷物を止め、通知を出します。輸入する会社の持ち時間は、そこから30日です。
| 止められたあと | 起きること |
|---|---|
| 30日以内に審査を求める | 書類を専用の窓口から出す。延長は通知から90日まで。保管料は輸入する会社が持つ |
| 30日以内に輸入をやめる | 米国の外へ送り出すか、廃棄する。費用は輸入する会社が持つ |
| 30日たっても何もしない | 輸入を認めない決定が出る |
| 認めない決定のあと | 180日以内に送り出すか廃棄する。不服を申し立てることもできる |
日本政府のガイドラインは、取引をやめるのは最後の手段だとしています。ただ、国が関わる人権侵害が疑われる地域の例も挙げています。取引先に証明を求めても根拠が示されず、工場の視察も断られたら、取引をやめることも考えるとしています。
2027年12月14日強制労働で作られた品を、EUで売ることも輸出することもできなくなる
EUの強制労働の規則は、業種も産地も問わず、輸入品にもかかります。欧州委員会は2026年6月30日に、準備のための資料を公開しました。
CBPに荷物を止められると、輸入する会社の持ち時間は30日です。その間に、梱から完成品までの書類を工程ごとに番号で結ぶ必要があります。
この準備を外に頼むのは、調達や品質保証、輸出入の部署です。頼まれるのは、上流の工場までさかのぼる調査と、書類を出さない取引先の洗い出しです。
紡績や縫製の工場を回ってきた生産管理の経験は、工程の流れ図を描くときにそのまま使えます。船荷証券や原産地の証明書に毎日触れてきた貿易事務の人は、書類の番号づけを任されます。
学生のうちは、UFLPAが証明の責任を輸入する会社に負わせている点を押さえておくと、面接で話の芯になります。