キリンとみずほは、義務になる前に、SSBJ基準(日本のサステナビリティ開示の基準)に準拠した有価証券報告書を出しました。開示は会社が自分の情報を投資家などに公表すること、有価証券報告書は上場企業が毎年国に出す報告書です。各社の報告書の原文から、対応の段階の違いと準備の中身を読み解きます。
「準拠して作成」は、基準の定めをすべて満たしたという宣言です。三菱UFJは、すべての定めを社内で検討しましたが、「すべての定めには準拠していません」と書いています。
キリンHDは、開示までの手順を「開示方針」と「実務指針」という社内のルールにしました。手順は内部監査の対象で、中身はCFO(最高財務責任者)が承認しています。KPMGあずさサステナビリティの限定的保証(外部による確認)も受けています。みずほFGは、2026年3月13日に改正された基準まで反映しました。
| 会社 | 有価証券報告書に書かれた準備 |
|---|---|
| SGホールディングス | 8つの専門部会を核に、マテリアリティ(重要課題)の改定、環境データの新システム、第三者保証への対応 |
| 三菱商事 | 排出量の数え方の国際ルールに沿って算定を見直す |
| オリックス | 2026年5月に更新した重要課題ごとに、リスクと機会、戦略、指標と目標を見直す |
共通するのは、担当の組織をつくること、重要課題を選び直すこと、数字の集め方を決め直すことです。SGホールディングスでは、アビームコンサルティングとBooostが体制づくりを支援しています。
いちばん多いのは、委員会や取締役会で対応を扱ったと書いた14社です。残りの267社の記載には、どちらの基準の名前も見当たりません。名前がないことは、準備をしていないことを意味しません。
時価総額は、株価に株式の数をかけた、会社の値段です。
| 時価総額(東証プライム) | SSBJ基準が義務 | 保証が義務 |
|---|---|---|
| 3兆円以上 | 2027年3月期 | 2028年3月期 |
| 1兆円以上 | 2028年3月期 | 2029年3月期 |
| 5,000億円以上 | 2029年3月期(予定) | 2030年3月期(予定) |
義務になってから最初の2年度は、サステナビリティの部分だけを後から出す「二段階開示」も選べます。
キリンHDは、開示の手順を社内のルールにし、内部監査とCFOの承認を通しました。1回目を終えた会社では、開示が決算と同じ形の仕事になっています。
義務になる前の1〜2年は、経理部とサステナビリティの部署が体制づくりを外に頼む時期です。SGホールディングスでは、アビームコンサルティングとBooostが支援しています。
頼まれるのは、重要課題の選び直し、排出量の算定の見直し、データの集め方の整理です。経理や内部統制(誤りや不正を防ぐ社内の仕組み)で決算の数字をまとめてきた人は、社内でも支援する側でも同じ型で働けます。
志望先が上場企業なら、その会社の有価証券報告書で、SSBJ基準についての書き方を探してみましょう。