更新日 2026年11月3日

現場のリアル|取引の条件

取引先からのCO2の問い合わせ 多くは請求書から出す1年分の排出量で答えられる

納め先や銀行から「CO2排出量を教えてください」と届く会社が増えています。依頼のもとが大企業の開示の義務でも、削減目標でも、まず聞かれるのは自社が1年に出したCO2です。依頼文の言葉を見れば、返すものと読むページが決まります。

現場のリアル #01現場

まずやること

  1. 依頼文で、対象の年度、拠点の範囲、期限、決まった回答の表があるかを確かめます。「2025年度」は、ふつう2025年4月から2026年3月までです。決算の期間で数えてよいかは、依頼元に聞きます。
  2. 下の表で、依頼文にある言葉から、返すものを決めます。会社全体の数字か、部品ごとの数字かが分からなければ、依頼元に聞き返します。
  3. 「年度別に」とあれば、何年度分が要るかを聞き返します。
  4. 期限に間に合わないときは、出せる日と、どこまで出せるかを先に返します。

答える義務はないが、答えないと推計で埋まる

取引先からの依頼に答える、法律の義務はありません。ただ、数字が届かないと、納め先は買った金額などから業界の平均で推計します。自社で出した数字を渡すほうが、実際に近い値で数えてもらえます。

依頼文の言葉で返すものが決まる

依頼文にある言葉返すもの
排出量、Scope1・2、サプライチェーン排出量、年度会社の1年分のCO2。燃料と電気の使用量に国の係数を掛けて出す。詳しく
融資、銀行、算定ツール拠点ごとの使用量と、会社全体の排出量。外部の検証を受けたかどうかも。詳しく
削減目標、SBT目標があるか。なければその旨と、出した排出量。詳しく
部品ごと、製品1個あたり、LCA、IMDS納める部品ごとのCO2。材料の重さと工場の燃料・資材・廃棄物の量から出す。詳しく
CBAM、CNコード、EU向け、1トンあたりEUに出す鋼材やアルミなどの、製品1トンあたりのCO2。詳しく
EcoVadis評価を受けること。環境・労働と人権・倫理・調達の方針や記録。詳しく
再エネ、RBA、CMRT電気を再エネに替える計画、労働の監査、鉱物の出どころの調査票。詳しく

どの依頼でも、土台になるのは会社の1年分の燃料と電気の量です。部品ごとやCBAMの数字も、この量を製品に割り振って出します。

返事の見本

会社全体の1年分を返すときの例です。数字と社名は入れ替えて使います。

対象の年度2025年度(2025年4月〜2026年3月)
範囲本社工場1か所(当社の全拠点)
Scope1(燃やした燃料の分)〇〇トン
Scope2(買った電気の分)〇〇トン
合計〇〇トン
使った係数電気は〇〇電力の契約の排出係数(聞けなければ、国の一覧の調整後排出係数)、燃料は環境省の算定方法・排出係数一覧
推計した月なし(あれば、どの月をどう推計したか)

年度と範囲がずれると使えない

納め先は、受け取った数字を自社のScope3(取引先など自社の外で出た排出)に入れます。年度や範囲がずれていると、納め先は数字を使えません。

依頼のもとにある決まり

大企業が取引先に数字を求めるのは、自社の開示や目標に取引先の分も入るからです。依頼文に書いていなくても、もとはたいてい次のどれかです。

依頼のもと求める側
有価証券報告書の開示(SSBJ基準)プライム市場の大きな上場企業。解説
削減目標の認定(SBTi)目標を立てた企業。解説
EUの輸入品への炭素の費用(CBAM)EUの輸入業者。解説
融資先の排出の算定銀行。解説

あわせて読む

ほかの業界の現場

ミシュランやKDDI、仕入れ先にEcoVadisの評価を求める取引の条件Scope1・2は請求書12か月分と国の係数で出せる取引の条件自動車の部品メーカー、部品ごとのCO2を数えて渡す自動車銀行が融資先にCO2の排出量を求める銀行・融資先人権の質問票で問われる外国人の働き方と来日の費用製造・食品の人権SSBJ基準、グループ全社のCO2も決算と同じ締め切り決算と開示電子部品メーカーに再エネ・労働監査・鉱物調査の依頼電機・半導体チョコレート、カカオ畑の緯度経度がないとEUに出せず食品・日用品米国向けの綿の服、産地を書類で示せないと輸入できずアパレルCBAM、輸入業者が鋼材1トンあたりのCO2を求めるEUへの輸出建設会社、資材のCO2も数えて出す 改正建築物省エネ法建設・不動産運送会社、燃料の量を荷主ごとにトンキロで割り振る物流EU ETSに海運が加わり、欧州向けの運賃に追加料金海運・EUの制度データセンター、電気の数字を国と利用企業に出すデータセンター・IT