更新日 2026年11月3日

国の制度|2026年11月号

SSBJハンドブックに2本追加 財務影響の金額は簡単な試算から

気候が会社のお金に与える影響(財務的影響)の金額は、簡単な試算から始めて少しずつ細かくしてよいと、SSBJの事務局が10月30日に出したハンドブックで解説しました。同じ日に、重要性のない情報の扱いを説明する1本も加わり、既刊の3本も改訂されています。

今月の動き2本SSBJハンドブックに追加

物流センターの浸水で試算の例

財務的影響の金額は、将来を正確に当てるためではなく、不確かさがあると示して透明にするために書くものだと、ハンドブックは整理しています。1つの数字でも幅でもかまいません。載っている例は、洪水で3階建ての物流センターの1階が水につかる場合の試算です。

影響計算使うデータ
売上の減少1日の売上×止まる日数1日10億円。止まる日数は国土交通省の浸水ナビの浸水の深さから
在庫の損在庫の額×被害を受ける割合×浸水の深さ別の被害率在庫200億円。被害は額の30%
設備の損設備の額×被害を受ける割合×浸水の深さ別の被害率設備1,000億円。被害は額の30%

客離れによる売上の減少は、洪水以外の理由と切り分けにくいとして金額にしていません。

重要でなければ書かなくてよい

もう1本の新刊によると、基準が並べている項目でも、情報に重要性がなければ書く必要はありません。重要性があるとは、その情報を省いたり誤ったりすると、投資家などの判断が変わると見込めることを指します。ただ、開示の中身にいちばん大きく効いた判断や、数字のいちばん大きな不確かさを省くときは、書かない理由を「追加的な情報」として書くと役に立つ場合がある、と付け加えています。

ハンドブックは委員会の審議を経ずに事務局がつくる解説で、基準の一部ではありません。中身に従わなくても、SSBJ基準に準拠していると言えます。

金額は帳簿と外のデータで出せる

SSBJに触れた有報110社のうち、シナリオ分析を書いたのは84社、財務への影響を金額で書いたのは16社でした。ハンドブックの例が示しているのは、浸水の深さのような外のデータと、在庫や設備の帳簿の額を掛け合わせれば、金額は出せるということです。この差を埋めるのは、減損や在庫の評価をしてきた経理の人と、物理リスクのデータを扱える人の組み合わせになります。開示担当は、金額にしない項目や書かない項目ごとに、その理由を説明できる判断の記録を残しておく必要があります。

あわせて読む

新しい記事

サステナ情報の保証基準はJSSA 5000 策定は2027年3月末まで国の制度GHGプロトコルがScope1〜3の新基準案を2027年に公開へ Scope2は2つの算定方法を検討海外の動き日本政府とSSBJがEUの域外企業向け基準案に意見 ISSBに沿った報告書の活用を求める海外の動きEUのESG格付け会社、小規模枠で51社が登録 EcoVadisなど大手は審査中評価機関