企業の動き|2026年10月号

キリンとみずほは、もうSSBJ基準で報告書を出した

キリンとみずほは、義務になる前に、SSBJ基準(日本のサステナビリティ開示の基準)に準拠した有価証券報告書を出しました。開示は会社が自分の情報を投資家などに公表すること、有価証券報告書は上場企業が毎年国に出す報告書です。各社の報告書の原文から、対応の段階の違いと準備の中身を読み解きます。

今月の動き2社義務の前にSSBJ基準で出した

「準拠」「すべてを検討」「準備中」の違い

準拠して作成キリンHD(2025年12月期)、みずほFG(2026年3月期)
すべてを検討三菱UFJ(2027年3月期からの適用に向けて準備)
時期を決めて準備三菱商事・オリックス(2027年3月期から)、ENEOS・SGホールディングス(2028年3月期から)
各社の有価証券報告書の書き方から分類

「準拠して作成」は、基準の定めをすべて満たしたという宣言です。三菱UFJは、すべての定めを社内で検討しましたが、「すべての定めには準拠していません」と書いています。

報告書を出すまでに整えること

キリンHDは、開示までの手順を「開示方針」と「実務指針」という社内のルールにしました。手順は内部監査の対象で、中身はCFO(最高財務責任者)が承認しています。KPMGあずさサステナビリティの限定的保証(外部による確認)も受けています。みずほFGは、2026年3月13日に改正された基準まで反映しました。

会社有価証券報告書に書かれた準備
SGホールディングス8つの専門部会を核に、マテリアリティ(重要課題)の改定、環境データの新システム、第三者保証への対応
三菱商事排出量の数え方の国際ルールに沿って算定を見直す
オリックス2026年5月に更新した重要課題ごとに、リスクと機会、戦略、指標と目標を見直す

共通するのは、担当の組織をつくること、重要課題を選び直すこと、数字の集め方を決め直すことです。SGホールディングスでは、アビームコンサルティングとBooostが体制づくりを支援しています。

売上上位300社のうち、触れているのは33社

対応を検討・審議14社
ISSB基準に触れる6社
参考にした5社
適用の時期を明記4社
沿って作成2社
準拠して作成2社
売上上位300社の有価証券報告書(主に2026年3月期)を調べました。SSBJ基準かISSB基準(世界共通の開示の基準)に触れている33社を、書き方で分けています。

いちばん多いのは、委員会や取締役会で対応を扱ったと書いた14社です。残りの267社の記載には、どちらの基準の名前も見当たりません。名前がないことは、準備をしていないことを意味しません。

義務になる順番は時価総額で決まる

時価総額は、株価に株式の数をかけた、会社の値段です。

時価総額(東証プライム)SSBJ基準が義務保証が義務
3兆円以上2027年3月期2028年3月期
1兆円以上2028年3月期2029年3月期
5,000億円以上2029年3月期(予定)2030年3月期(予定)

義務になってから最初の2年度は、サステナビリティの部分だけを後から出す「二段階開示」も選べます。

この仕事への影響

キリンHDは、開示の手順を社内のルールにし、内部監査とCFOの承認を通しました。1回目を終えた会社では、開示が決算と同じ形の仕事になっています。

義務になる前の1〜2年は、経理部とサステナビリティの部署が体制づくりを外に頼む時期です。SGホールディングスでは、アビームコンサルティングとBooostが支援しています。

頼まれるのは、重要課題の選び直し、排出量の算定の見直し、データの集め方の整理です。経理や内部統制(誤りや不正を防ぐ社内の仕組み)で決算の数字をまとめてきた人は、社内でも支援する側でも同じ型で働けます。

志望先が上場企業なら、その会社の有価証券報告書で、SSBJ基準についての書き方を探してみましょう。

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