海外の動き|2026年10月号

ISSBが、自然の開示の案を出した

開示は、会社が自分の情報を投資家などに公表することです。その国際基準をつくるISSBが、2026年10月22日に自然に関する開示の案を公表しました。案の中身を、IFRS財団(ISSBを置く国際的な財団)の資料から読み解きます。日本の大手企業の状況と、国の委託に出ている自然の仕事も見ます。

今月の動き2/19まで2027年、自然の開示の意見募集

案が新しく求めること

案の名前は「実務記述書第1号 自然関連の開示」で、意見の募集は2027年2月19日までです。今の基準には、自然に絞った決まりはありませんでした。案は、次のことを加えます。

場所仕入れ先も含めた拠点の場所と、そこの自然の状態
対応と計画自然のリスクと機会への対応
シナリオ分析自然の変化に、事業が持ちこたえられるか
資産の額と割合自然のリスクにさらされる資産や事業の額と割合
目標自然に関する目標ごとの、対象と場所
IFRS財団の案の要約(2026年10月)から

いちばん大きいのは「場所」です。気候の開示では、排出量を会社全体で足し上げます。自然の開示では、どの拠点がどんな川や森のそばにあるかが問われます。

実務記述書で出し、TNFDを土台にする

実務記述書は、使わなくても「ISSB基準に従っている」と言えます。取り入れるか、いつ義務にするかは、各国が決めます。

案は、TNFD(自然の開示の枠組みをつくった国際組織)の提言と指標を土台にしています。ISSBは、TNFDに沿った開示を続けることが、案への準備になると書いています。

日本の大手企業は、どこまで来ているか

TCFD(気候)225
生物多様性・自然資本143
TNFD73
売上上位300社の有価証券報告書のサステナビリティの欄で、その言葉に触れている会社の数。直近の決算期

TNFDに触れている会社は73社(24%)で、TCFD(気候の開示の枠組み)の3分の1ほどです。売上の順位で100社ずつに分けても、23社、26社、24社と偏りはありません。

国の委託に出ている自然の仕事

件名に「生物多様性」「ネイチャー」「自然資本」を含む国の契約は、2024年度から2026年度8月までで113件です。開示や金融に近いのは、次の3つです。

仕事2024年度2025年度2026年度
金融機関向けの自然資本の分析支援(環境省)三菱総研三菱総研みずほ銀行
ネイチャーポジティブ経済の調査(環境省)デロイト トーマツデロイト トーマツデロイト トーマツ
自然資本の生産への寄与の試算(内閣府)日本アプライドリサーチ研究所日本アプライドリサーチ研究所みずほ銀行

ネイチャーポジティブは、自然の損失を止めて回復に向かわせる考え方です。その経済の調査は、2026年度が2,374万円で、3年続けて増えています。

この仕事への影響

案のいちばんの変化は「場所」です。どの拠点や仕入れ先が、どんな川や森のそばにあるかを調べて書きます。

この分析は、サステナビリティの部署が外に頼みやすい仕事です。意見の募集は2027年2月19日までで、義務にするかは各国が決めます。

環境アセスメントや建設コンサルタントで生態系や水を調べてきた人は、現地の自然の状態を読む役に回れます。地図のデータ(GIS)を扱える人は、拠点の位置と自然の情報を重ねる作業を受け持ちます。TNFDに沿った開示を手がけた担当者は、案に合わせる作業の中心になります。

国の側でも、環境省が金融機関向けの自然資本の分析支援を毎年発注し、2026年度はみずほ銀行が受けました。

学生なら、TCFDとTNFDの違いを「会社全体で足す」と「場所ごとに見る」の対比で話せるようにしておくと強いです。

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