会社の環境・社会・企業統治への取り組みを点数づけするESG評価に、EUでは7月から当局の認可が必要になりました。日本は、法律ではなく行動規範で見守る形を続けます。2つの動きと、年金の運用に使われる指数の入れ替えの仕組みを読み解きます。
EUのESG格付け規則が、2026年7月2日から適用されました。EUで格付けを出す会社は、欧州証券市場監督機構(ESMA、EUの金融市場の監督当局)の認可が必要です。EUの外の会社も、EUで格付けを出すなら認可などを受けます。
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 8月2日 | すでに事業をしている大手・中堅の会社が、申請の意思を届け出る期限 |
| 11月2日 | 大手・中堅の会社の申請期限 |
| 2027年5月ごろ | 審査が終わる見込み(EcoVadisの説明) |
格付け会社は、評価の方法を細かく開示(外に公表)します。申請した会社は、審査が終わるまでEUで事業を続けられます。
| 会社 | EUの規則への対応 |
|---|---|
| MSCI | 7月2日に、認可を申請する意思を届け出 |
| Sustainalytics | 7月に届け出、9月に申請 |
| EcoVadis | 7月8日までに届け出。顧客の側で変えることはないと説明 |
| FTSE Russell | EUではESGスコアを出さず、登録もしない。日本などEUの外では続ける |
届け出をした会社は、7月9日時点で12社、9月9日時点で109社でした。小さな格付け会社向けの軽い登録の制度には、10月28日時点で51社が登録しましたが、大手は入っていません。
日本では、金融庁が2022年に評価機関向けの行動規範をつくりました。法律ではなく、評価機関が受け入れを表明する仕組みです。2026年6月30日時点で、CDPやMSCIなど30社が表明しています。
6月30日の金融庁の調査では、企業から評価の方法の分かりやすさやアンケートの負担に改善を求める声が続いています。それでも金融庁は、規制の導入や行動規範の改訂には「現時点では慎重」としました。
年金の積立金を運用するGPIFは、ESG指数に連動する運用をしています。その1つのFTSE JPX Blossom Japanは、FTSE RussellのESGスコアで銘柄を選びます。
3.3点以上で新しく入る。2.9点を下回ると外れる候補になる
見直しは年2回、6月と12月です。次の入れ替えは、12月18日の取引終了後です。対象は、東証の株価指数のTOPIXに入っている会社だけです。6月の見直しのあとは478社が入っています。
次のFTSE JPX Blossom Japanの入れ替えは、12月18日の取引終了後です。3.3点や2.9点の線に近い会社では、IR(投資家向けの広報)とサステナビリティの部署が、その前に点数の理由を調べます。
EUの審査が2027年5月ごろに終わると、格付け会社が開示する評価の方法も細かくなります。それを読み、評価会社への回答を直す作業が増えます。
IRとサステナビリティの両方を担当した人は、この評価対応の担当として声がかかります。
学生は、GPIFの運用とESG指数のつながりを、図に描いて説明できるようにしておくと、話が伝わりやすくなります。