国の制度|2026年10月号

排出量取引で「確かめる」仕事が始まった

国の排出量取引制度(GX-ETS)では、会社が国に出す排出量を、国に登録した確認機関が確かめます。確認の中身と登録した機関を、国の資料と各社の発表から読み解きます。

今月の動き300〜400社GX-ETSの対象の見込み

届け出から償却までの流れ

GX-ETSは、2026年度から法律にもとづく義務の制度になりました。国は、CO2を出してよい量(排出枠)を会社ごとに配ります。会社は、出した量と同じだけの枠を、期限までに持っておきます。

2026年度1年間の排出量を数える
2027年9月30日確認を受けて、排出の実績と枠の量を国に届け出る
2027年11月ごろ国が枠を無償で配り、取引の市場が開く
市場が開いたあと足りない枠を買い、余った枠を売る
2028年1月31日排出量と同じ量の枠を持っておく(償却の期限)
東北経済産業局の制度説明資料(2026年5月)の図をもとに作成。11月の枠の割り当てと市場の開始は目安

確認が要るのは、排出の実績と、国の指針にそって会社が計算した枠の量の2つです。

対象になるのはどんな会社か

300〜400社国内の温室効果ガスの排出の60%近くをカバーする見込み

対象は、CO2の直接の排出量が、前年度までの3年度の平均で年10万トン以上の会社です。会社の数は、東北経済産業局の制度説明資料(2026年5月)による見込みです。

枠は、業種ごとに決めた基準で比べて配るのが基本です。基準のある20業種で、対象の会社の排出の90%をカバーします。

登録は15機関、多いのは認証や検査の機関

確認機関は、排出量が正しく数えられているかを確かめ、報告書を出します。2026年3月31日に最初の3機関が登録され、10月13日までに15機関になっています。

認証・検査の機関9
コンサルティング会社など4
監査法人2
2026年10月13日までに登録された15機関。種類分けは機関の名前と事業による

認証・検査の機関には、日本品質保証機構、SGSジャパン、日本海事協会などがあります。監査法人(決算書を監査する公認会計士の法人)は、EY新日本とあずさの2法人だけです。

EY新日本は8月19日に、確認の業務を始めたと発表しました。証拠の残し方や承認の手順など、確認の前の準備も支援します。あずさ監査法人は、自主参加だった第1フェーズで、20社以上に排出量の保証をした実績を挙げています。

国の委託では、制度づくりの調査が毎年続いている

手元の契約の記録に、件名に「排出量取引」を含む国の委託はありません。制度をつくる経済産業省の契約が入っていないためです。環境省は、炭素に値段をつける仕組み(カーボンプライシング)の調査を毎年発注しています。

環境省のカーボンプライシングの調査受けた会社金額
構想の検討(2024年度)三菱総合研究所8,800万円
検討調査(2025年度)みずほリサーチ&テクノロジーズ6,496万円
検討調査(2026年度)みずほ銀行6,710万円

この仕事への影響

2027年9月30日、対象の300〜400社が、確認を受けた排出の実績を国に届け出ます。確認の依頼は、この日の前に集中します。

確かめる側の15機関のうち9つは、認証や検査の機関です。品質や環境の審査をしてきた人が、そのまま確認の担い手になります。監査法人で保証をしてきた人も加わります。

頼む側の会社では、製鉄、化学、セメント、電力などの工場でエネルギーの使用量を管理してきた人が窓口に立ちます。EY新日本のように、確認の前に証拠の残し方を整える支援も始まっています。

排出枠を配ってから償却するまでの流れを、日付つきで言えますか。面接でGX-ETSの話になったら、そこが土台になります。

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