アスエネは7月23日、135億円の調達と英国の会社の買収を同じ日に発表しました。アスエネは、会社のCO2排出量を数えるソフトの会社です。同じ業界の会社の7〜10月の動きと足したサービスを、各社の発表から読み解きます。
135億円これまでの調達の合計は250億円
今回の調達は、上場前の会社が段階を追って資金を集める4回目(シリーズD)です。中心になった投資家は、Decarbonization Partnersです。BlackRockとTemasekが共同でつくった、脱炭素の投資会社です。アスエネは使い道として、買収による事業の拡大と、AIと製品の開発をいちばん先に挙げています。
買ったのは、英国オックスフォードの2degrees社です。製造業の取引先のCO2を集めて見える化するサービス「Secaro」を運営しています。取得の額は、今後の業績に応じて払う分を含めて最大60億円です。
Secaroには、90か国以上の製造業の取引先8,000社超が参加しています。利用する会社には、トヨタ、ホンダ、GM、ユニリーバなどがあります。
| 発表日 | 会社 | 動き |
|---|---|---|
| 7月23日 | アスエネ | 135億円を調達、英国の2degrees社を買収 |
| 9月3日 | アスエネ | 開示書類(会社が投資家などに情報を公表する書類)の印刷を手がける宝印刷と業務提携 |
| 9月11日 | Greenly(仏) | 同業のNormative(スウェーデン)の買収を発表 |
| 9月16日 | アスエネ | TBMの算定サービス「ScopeX」の顧客を、買収で引き継ぐ |
アスエネにとって、ScopeXの顧客の引き継ぎは9件目の買収です。
各社が足しているサービスは、主に2つの分野です。1つはSSBJ基準(日本のサステナビリティ開示の基準)による開示の支援です。もう1つは、CBAM(EUに輸入する製品のCO2に費用をかける仕組み)など、EUの製品の規制への対応です。
| 会社 | 足したサービス |
|---|---|
| アスエネ | 宝印刷の開示システムとデータをつなぐ(9月) CBAMの情報をまとめて管理(9月) |
| Booost | 出資を受けたプロネクサスと、開示システムを共同開発(3月から) CBAMなどEUの製品の規制にまとめて対応(10月) |
アスエネもBooostも、上場企業の開示書類を手がける印刷会社と組みました。プロネクサスは、約2,200社の上場企業を含む取引先を持っています。印刷会社の顧客に、排出量のデータごと開示の仕組みを売る形です。
買う側の準備は、まだこれからです。日本CFO協会とBooostの調査では、SSBJ基準による開示を始める時期を決めていない会社が約半数でした。
アスエネとBooostは、開示書類の印刷会社と組みました。印刷会社の顧客である上場企業の経理部やサステナビリティの部署に、開示の仕組みを売る形です。
ただ、SSBJ基準の開示を始める時期を決めていない会社は約半数です。時期を決めた会社から、ソフトの導入と開示の手順づくりがまとめて発注される見込みです。
売る側の会社では、有価証券報告書の作成や監査で開示の実務を覚えた人が、導入の相談に乗ります。9件の買収を重ねたアスエネでは、買った会社の製品と顧客を1つにまとめる仕事も続きます。
学生は、排出量を数えるソフトの会社がなぜ印刷会社と組むのかを、開示書類の作られ方から考えておくと面接で話せます。