更新日 2026年11月3日
アルメニアの首都エレバンで開かれた生物多様性条約のCOP17が、10月31日に合意をまとめて閉幕しました。国連の報告では、2030年に向けた世界の23の目標のうち22で遅れが出ており、会議は各国に計画の見直しを求める合意を採択しています。同じ週、国内では環境省が、企業や銀行の自然の取り組みを後押しする事業の選定を発表しました。
COP17で採択された「イェレバン・パスウェイ」は、資金が得られることを条件に、各国に生物多様性の計画の見直しを求めるものです。重点は海や沿岸、川や湖の自然に置き、計画をまだ出していない60か国以上には早く仕上げるよう促しています。
今の各国の目標のままだと、2030年に守られる自然は陸の約26%、海の約12%にとどまり、目標の30%に届きません。最も進んでいないのは自然に害を与える補助金を減らす取り組みで、各国は取り組みを速めることで合意しました。2025年までに200億ドルを生物多様性に回す目標も、達成できていません。
カリ基金は、生き物の遺伝情報のデータを使う企業がお金を出す仕組みで、2年前のCOP16で採択されました。企業には利益の1%か売上の0.1%を出すよう促していますが、払うかどうかは任意です。
1万ドル余りカリ基金がこれまでに集めた額。専門家は最大69億ドルを集められると見込む
COP17では、企業が利用の証明を得る方法など、ルールの一部が決まりました。製品のごく一部にしか遺伝情報を使わない企業の率を下げるかといった細部は、2028年にエクアドルで開くCOP18に持ち越しです。
| 発表日 | 事業 | 選ばれた先 |
|---|---|---|
| 10月30日 | 自然共生サイト(民間などの取り組みで自然が守られている場所)の認定 | 新たに122か所、合計700か所 |
| 10月29日 | ネイチャーファイナンス実践モデル事業 | 八十二長野銀行、SBI新生銀行 |
| 10月29日 | 調達のネイチャーポジティブ実践モデル事業 | 野村不動産と清水建設(型枠)、三井物産とイオン(パーム油) |
ネイチャーファイナンスの事業で、八十二長野銀行は自然資本をふまえた企業との対話の土台づくりに、SBI新生銀行は自社の融資商品への自然の視点の組み込みに取り組みます。開示の側でも、ISSBが10月22日に自然に関する開示の案を公表し、2027年2月19日まで意見を募っています。
国の計画の見直しは資金次第で、世界の歩みは遅いままです。日本では、開示の基準と国の事業のほうが先に動いています。型枠の木材やパーム油のように、自然への影響が大きい原料を扱う建設・不動産・小売・商社の調達担当は、環境省のモデル事業の結果を自社の調達の基準の手本として追うべきです。遺伝情報のデータを使う企業にとっては、2028年のCOP18で払う率の扱いがどう決まるかが次の焦点です。